すごいシンプルな脚本。しかし、トレーラーからの煙や、エンジンがあまり調子よくないことや、家族との違和ではやく帰らなければならないことがアクセントになっており、ハラハラする。今まで安全だと思っていた場所の崩壊、というのは恐ろしい。そして、敵の姿が見えないというのも強大に見え、恐ろしい。食事シーンの誰でもあり得る、という葛藤や、また追ってきたらどうしようという恐怖、話しかけてしまえば何とかなるという対策案も面白い。ディスコミュニケーションの恐怖でもある。ただ、カフェのシーンを入れてしまったことで「誰が犯人か？」が気になってしまったのは惜しい気もするが、追い詰められていることはよく伝わってくる。子どもたちや、役立たない夫婦や、電話ボックスなどのイライラポイントが、ラストの安堵に繋がるが、どこか、寂しげなのは勝ったとしても帰る場所などないからか。
