ゴリアテの憂鬱

夏物語のゴリアテの憂鬱のレビュー・感想・評価

夏物語(1996年製作の映画)
4.7
自分は変なところにこだわるタイプのA型なので、去年の春に『春のソナタ』を、冬に『冬物語』を、【四季の物語】の制作順にその季節が来るのを待ってそれぞれ鑑賞し、今年の夏と秋に残りの2作を順番通りに観ようと思っていた(既にBlu-rayは4作とも新旧2枚所有済み。両方買ったのはそれぞれの解説を読む為です)ところに今回のリマスター上映があったので、自分に「今はもう初夏なのだ」と言い聞かせて映画館で鑑賞しました。

やはりロメール映画は、夏,バカンス,そして海辺の景色と、3つの舞台が揃うと(特に)無類の強さを発揮します。

主人公はイケメンなのにインテリで、音楽も嗜んでしまうという、カルチャーに明るい女性からすれば理想の彼氏像みたいに最初は写りますが、大多数の女性は観終わる頃には「こんな男はイヤだ」と思うであろう奴でした。

現代の恋愛大作映画とは全く違って、話が進むにつれ観るものををゲンナリさせるという。。
さすがはロメールというストーリーでした。

何も大したことも起こらない一夏の他愛もない出来事を、時間を忘れるくらい引き込まれていくような会話劇に仕立てる、その感覚と才能が素晴らしいです。

残す1作、『秋の恋』は今年の秋に観ようと思います。