77点(100点満点中)
70年前の作品とは到底思えない、素晴らしい完成度のサスペンス映画だった。犯人が最初からわかっている“倒叙”方式で、完璧な犯罪計画を立てた筈が本番で様々なアクシデントが起こり綻びが生じていくという点はまさに『古畑任三郎』と一致しており、少なからず影響を受けていたり参考にしていそう。前半の作戦を立てるパートは会話劇オンリーだが、巧みなカメラワークで登場人物の力関係を表しつつ緊張感を持続させており、ヒッチコックの手腕が光っている。後半はシンプルにサスペンスとして面白く、ラストで明らかになるトリックにはアッと言わされた。推理小説家が立てた筋書きが実はほぼ正解というのもあまりない展開だしギャグにもなっていた。今観ても新鮮に楽しめるサスペンスをこんな昔に撮っているなんて、ヒッチコック恐るべし
〈脚本〉36/45点
〈演出・撮影〉19/25点
〈音楽〉7/10 点
〈演技・キャスティング〉7/10 点
〈印象〉8/10