瀬口航平

コメディ・フランセーズ/演じられた愛の瀬口航平のネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

めちゃめちゃ面白かった。映画としては長いけど、個人的にはいつまででも観れる。いつまで見放題かわからないのでDVD買っちゃった。

コメディフランセーズは、大学生のときに学校の図書館でモリエール作品をいくつか観たんだけど、あまり面白くなかった印象。その後来日するフランス演劇もいくつか観たけど、同じ理由で面白くなかった。どの芝居もすごくゆっくりで声も小さく、退屈なものだったから。フランス演劇の専門家の方もフランス演劇は面白くないみたいなこと言ってて、そういうものなのか、とか思ってたけど、これ観てその認識を改めた。この映画の中に収録されてる様々な作品の芝居はどれもおれが今まで観たフランス演劇とは違ってすごく面白かった!よく考えてみればこの前観た太陽劇団もフランスの劇団だけど、それも面白かったもんな。自分の観てる世界だけでフランス演劇は〜とか決めつけちゃうのもったいない。

あと俳優陣とか演出家その他の劇団員で作品解釈の議論してるシーンが面白かった!その作品あるいは作家特有のものを見つけられるってのは、それだけたくさんの作品を読んで、観て、やってるからなんだろうな、と。だから比較ができる。ドン・ジュアンやタルチュフの中で描かれてる神聖さ、についての話と、マリヴォーの人間観の話、政治とは危険とスリルのある究極のゲームであり、公に見せないプライベートな顔の政治家を観察すると、現実をひどくつまらない馬鹿馬鹿しいもの、退屈なものと捉えてる、彼らは退屈しのぎに政治家になるのだ、という、実際の政治家にプライベートで関わった経験から発見した政治家の性質についての話等が面白かった。

個人的には政治家になろうとしてる人は現実を悲観的に観てる人が多いように感じる。この映画でも深い絶望感と言ってたけど。現実に楽観的な政治家っていない。
瀬口航平

瀬口航平