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チャレンジ・キッズ 未来に架ける子どもたちの4423のレビュー・感想・評価

5.0
英語のスペルを正しく競い合う大会、スペリング・ビー自体は『綴り字のシーズン』で知ったクチだが、本作は実際に全米スペリング・ビーに出場する子供たちとその家族を追ったドキュメンタリーである。

『ドキュメンタリーに勝る極上の物語なし』まさにこの一言に尽きる。

スペリング競技は一字のスペルミスが命とりになる。そのため、スペラーたちは毎日膨大な言葉の海を漂い、スペルを頭に詰めこんでいく。おそらく、1000ページはゆうに超えるであろう辞書は、気が遠くなるほど開かれ、ぼろぼろになっている(表紙すらも取れてしまうほど)。そして、本人はもちろん、家族も大会を軸に生活が回っていくほどこの大会は意味のあるものなのだ。

出題される問題は衒学的、懸垂下降、池沼プランクトン、重ね書き羊皮紙など、こんなの日常で使用するのか?という言葉ばかり。

難解な問題に突き当たると、記憶の中に閉じ込めたスペルを必死に絞りだそうとする子供たちの表情がすごく好きだ。
このような表情は、近年ではなかなかお目にかかれない気がしている。

今はスマホで何でもすぐに調べられるし、何かを絞り出すほど熟考するということ自体が希薄になっているのかな。もちろん、自分も含めてだが。

敗退するも「人生の一部が終わった感じがする。でも、これでもう勉強しなくていい」と嬉しそうに語っていた女の子が実に印象的。

さて、このドキュメンタリーに出た子供たちは、2019年現在、三十代前後。彼らはその後どんな道を進んだのだろうか。
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