板門店共同警備区域内の、南北兵士間の友情と分断の悲劇を描いた、まだ南北が統一しようという意思を持っていた時代の映画。
朴槿恵(パク・クネ)政権時のブラックリスト掲載者、パク・チャヌク監督がメガホンを取った「シュリ」に続き、北の兵士を対話できる相手と描いた当時としては珍しい映画で、軍事独裁が終わったことを印象付けた作品でもある。
板門店の北側警戒所で銃撃事件が起きる。若い北朝鮮警戒所兵チョン・ウジン(シン・ハギュン)が死んで、オ・ギョンピル中士(ソン・ガンホ)が負傷して発見される。
容疑者は、事件直後に南北軍事分界線上に倒れていた南の警戒所兵イ・スヒョク兵長(イ・ビョンホン)。
北朝鮮軍に拉致された韓国兵士が脱出して発生した事故だと主張する韓国と、軍事分界線を侵犯した韓国軍のテロだと主張する北朝鮮が対立する。
中立国監視委員会は、中立国スイス情報団の韓国系少佐ソフィー(イ・ヨンエ)に捜査を任せる。
お互いを「トンム(友達)」、「ヒョン(兄さん)」と呼び合うシュール演出。
この作品を見て思うのは20年以上前の作品にも関わらず、イ・ヨンエ、イ・ビョンホン、ソン・ガンホなど他の俳優たちも、良い作品に出続け、未だに第一線で活躍してるということ。
俳優としてのキャリアを積むとは、そういうことなんだろうな。
ちなみに1953年の休戦協定には現在の韓国は署名していない、その場にいなかった。だから休戦の当事者ではない。
逆に北朝鮮は国連相手に対等な立場で協定を締結した、これが北朝鮮のプライドでもある。だから韓国には「当事者として」と言う。
日本のメディアでは「アメリカに振り向いて欲しいから」と言うが、そもそも交渉相手は国連軍だが実質的にはアメリカなので、振り向くとかそういった次元の話ではない。