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シド・アンド・ナンシーのotomisanのレビュー・感想・評価

シド・アンド・ナンシー(1986年製作の映画)
4.1
 昔は毛嫌いしてたものだ。音楽などとおこがましい。地震波と同列の迷惑物であった。ナンシーの後を追って死んだような話は耳にしていたが愚の骨頂と顧みた事も無かったのだが。
 年を取るとは不思議な効果があるようだ。心が緩んだのか耳が遠くなったのか、昔の嫌悪感が湧いてこない。あの頃、1分とてシドに付き合うなどありえなかったのが2時間、2度も見ている。
 楽音にどうのと言うのではない。二人の出会いの馬鹿さ加減もつるみきって解けない腐れ加減もどうのと言うのでもない。あの頃世界じゃこんな事がみたいなのの一つで、嫌いで触れなかったこれらの嫌いな事を忘れた挙句の事だ。付き合って得も発見も無いし、決して好きになる事も無いと思う。それでもあの頃撥ね付けて別な何かを掴もうと躍起になってたその何かが今ではよくわからない。そのことが4時間つきあって分かってしまった気がする。
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