horaAya

アナザヘヴンのhoraAyaのレビュー・感想・評価

アナザヘヴン(2000年製作の映画)
3.5
小学生の時以来に見た。当時はよくわからないってイメージだったけれど、コミカルな笑いがふんだんに散りばめられた楽しい作品だったことに驚いた。誰もに秘められた悪性を象徴化して描く点でも、同類を主人公サイドに配した凸凹バディ展開を採用した設定部分においても『ヒドゥン』からの影響が色濃く漂っており、単純に猟奇殺人的なところだけでなく、勝手に引いていた境界線を踏み越えてくることで大きな心的影響・変化を与えるあたりに『セブン』みも感じる。食欲を覚えてしまったがための吐気、環境音を真逆の意図に転換していく序盤から既に演出の手堅さが見受けられ、昭和感溢れる偏見に塗れたベテランによって時代的価値観変遷、合理的な若者によって善性・悪性と、バディそれぞれに象徴する事柄を担わせつつ、両者における理想を体現した存在を女性に担わせることにもホラーらしい真摯さが窺える。彼女に対する2人の序盤→ラストにかけた対応の変遷こそが本作の本質。そしてその論争は善性への信仰。『ISOLA』と同様にセリフで核心部分を語りまくりつつも本質部分は語らず、また「死」の捉え方も共通しているのはやはりこの時代のJホラーらしい歪さ。とりあえず肉屋は強い!
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