horaAya

エターナルズのhoraAyaのネタバレレビュー・内容・結末

エターナルズ(2021年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

全く好きな監督ではないけれど、正直もう少し上手いと思ってた。過去作を見る限り、借り物でゴリゴリに固めてくる頭でっかちなコラージュ技術は凄まじいと思っていて、MCUなんて積み上げられてきた雛形は腐るほどあるわけだし、この監督と相性抜群でしょ?と思っていたけれど、肝心のコラージュ技術にも不信を抱かせるような出来。確かに借り物ゴリゴリで固めているのは間違いないのだけれど、恐らく「好き」故の研究を元にした借り物で構成された過去作と比べると情熱が抜け落ちたための辿々しさが見ていて痛々しくなるほどに伝わってくる。某漫画が好きとかのコメント出して取り繕っていたけれど、それを映画として構成することに全く興味ないんだろうなってことが滲み出てる。公開時期が近いために『DUNE』を引き合いに出して語られているのを良く見かけるけれど、あくまでも技術者としては完全にヴィルヌーブの方が上だとは思う。作家としてはジャオだけど。過去作全て見た限りでは、作家性から構成を始めるような組み立てをしているように思われるし、小手先勝負の表層的作品へ魂を売り切れていないあたり、ちょっと好きにはなった。同じく観察を主眼としてきたフィリオはエンタメとの融合をうまくやってるよね。フィリオがこうならないことを祈る。以下は細かい愚痴。

まず露骨なポリコレ。障がい者も出していたけれど、画面的に見栄えのする障がいを選別して題材とすることの何が価値観のアップデートなのか私にはわからない。それでいて広島で黒人が原爆の後悔を口にするとか流石にヤバいでしょ。あの有名な記者を誰もが想起すると思うし、それであるならば絶対にこんな演出にはならない。人種も障がいもジェンダーもカテゴライズ&代表化させるという、パイが多くなっただけの雁字搦めなステレオタイプは時代的逆行でしかない。そして目からビームの人どう考えても雑魚キャラでしかなかったのに、セリフで最強だと矯正し続けた上であのクライマックスに持っていくのも違和感しかない。マドンソクとアンジェリーナジョリーがどう見ても最強候補だったと思うけど。表裏一体存在としての敵キャラも扱い方が意味不明。利害の一致を見させるか、ラスボスに仕立て上げるかのどちらかでしょ。私怨とか内紛とか歳だけ食った子どもなの?逆コナン的な。そんなのに上位存在として全生命の取捨選択権を与えたくないんだけど。生かす価値があるとか、あんたらに言われても…。それも含めて現代に対するジャオ流の皮肉なのかもしれないけどね。
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