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砂の器のNKのレビュー・感想・評価

砂の器(1974年製作の映画)
4.2
東京の国鉄蒲田操車場で殺害された男性の死体が発見される。被害者の身元は不明で推定年齢50~60歳。事件の捜査にあたったベテランの今西刑事(丹波哲郎)と若手の吉村刑事(森田健作)は聞き込み捜査から、被害者は殺害の数時間前に 
現場近くのバーで若い男と一緒に酒を飲んでいたことを突き止める。バーのホステスの証言によると、被害者は強い東北弁訛りで「カメダ」という言葉を何度も発言していた。東北の各県から「カメダ=亀田」姓の人物がリストアップされたが該当者はなく、今西と吉村は秋田県亀田に調査に向かったが手がかりは何一つ発見できなかった。その帰り、二人は列車内で天才音楽家の和賀英良(加藤剛)に遭遇し…

犯人探しというか、刑事ものというか、ミステリーやサスペンスの類が自分は大好きだと言うことを再認識した作品。手がかりなさすぎやろ…犯人の動機一体なんやねん…という序盤から一転、どんどん謎が解き明かされていくのは面白い。

それだけにとどまらず、交響曲「宿命」に乗せてある親子2人の放浪、そして逃れられない親子の絆という宿命を浮き彫りにする。サスペンスやミステリーといった言葉では簡単には片付けられない、鑑賞者の涙腺を刺激するものがそこにはあったと感じます。今西刑事の語りはありますが、終盤の音はほぼ「宿命」の音楽のみ。それでも惹きつけられてしまう映像。

公開から50年経ったいま、自分のような当時まだ生まれていなかった人間が見てもめちゃくちゃ面白いと思うのはやはり名作たる所以ですね。
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