元ラジオ頭

砂の器の元ラジオ頭のネタバレレビュー・内容・結末

砂の器(1974年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

原作は読んでたけど、映画版は恥ずかしながら所見
観終わって思うのは、これを美談としてしまうのはちょっと違和感あるなと
仮に感動するとしてもそれは前向きなものではなく、怒りと悔しさが混じった後ろ向きのものですね
そもそもとして父子が放浪しなければいけなかったのは無知による差別によるものだし、父子が離れ離れになったのも当時の現実を考えれば仕方ないとはいえ、三木元巡査の本人たちの意思を無視した一方的な善意によるものだし、和賀が殺人を犯さなければいけなかったのもそのためですよね
しかし裏を返せば根っからの悪人というものは登場しない訳で、それでも社会の都合のために人間の人生が踏みにじられたという後味の悪さをかみしめることこそがこの映画のテーマであり魅力なのかなと思う

それと語られないことが多いですが、前半の捜査パートはミステリーとして非常に面白い
松本清張はもちろん、鮎川哲也やもっと辿ればクロフツにも通じる「情報が集まってくる過程」の面白さが堪能できます
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