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フックのmomocosのレビュー・感想・評価

フック(1991年製作の映画)
3.5
さよならバウスシアター特集、爆音映画祭で鑑賞。

スピルバーグの迷走作(と言うのをもっと素敵に黒沢清監督が解説してくれた。黒沢さんは蓮實重彦に「世界で唯一フックを褒めた男」と呼ばれていたらしい)。大人になって自身がピーターパンであったことも忘れてしまったピーターパンが、ティンクに導かれ、フックにさらわれた子どもを救いだすためにネバーランドに再来。前半の、室内に焚かれるスモークや光、フックの登場を予感させるまでのスピルバーグらしい演出が冴えわたっている、というのはなるほど。

いざネバーランドに行くと、飛べないブタはただのブタ、とばかりにかつて一緒に暮らした子どもたちに罵られ(まさかスピルバーグ作品でフリースタイルバトルが聞けるとは…)、太った中年男が三日で勘を取り戻すべく頑張る。その過程が楽しく、ツッコミどころもたくさんで、ラストの演出も爆笑してしまった。ピーターパン姿のピタッとしたタイツが「き、気になる…」と思うとフックがすかさず「大人になってもよくそのタイツ入ったな」と言及したり、痒いところに手が届くサービス精神も満載でした。

父と子の絆などメッセージ性もあるものの、海賊たちに卵やカラー爆弾で応戦する子どもたちの戦いぶりがワクワクするし、終始笑ってすごい楽しかった!

ジョン・ウィリアムズの音楽も気持ちよく、爆音で観るのにふさわしい一作でした。
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