「悪人」チーム（李相日監督×吉田修一×川村元気プロデューサー）は容赦がない。映画館のシートで腰抜かすほどの密度。
後半につれて、願うような気持ちで見てしまう。どうか誰の日常も壊れないで、と。
そんなふうに祈るような気持ちになるほど、大それた人生を送っている登場人物はいない。どちらかと言えば、底辺に近いやつらばかりだ。最悪なことも起きるし、お金だってあんまりない。なにかを諦めたような、厭世観すらある。
それでも。宮崎あおいがつくってくれるお弁当みたいな、綾野剛がむいてくれるフルーツみたいなやさしさがあれば、毎日生きていけるよね。
キャストはみな熱演ですが、宮崎あおいが圧倒的に凄まじかった。スクリーンで映画を観る醍醐味って、実物大の何倍もの大きさで俳優の顔を観ることなんじゃないかと思うほどに。
顔、顔、顔。日本人の顔を平均すると、とか、整形しすぎた顔とか、モンタージュ写真とかにゾッとするのは、精気がないからだ。宮崎あおいの精気ばしった顔をみるためだけにでも、もう一度観たい。
