ブラックユーモアホフマン

囚われの女のブラックユーモアホフマンのレビュー・感想・評価

囚われの女(2000年製作の映画)
4.3
アケルマンの映画って、シリアスそうに見えて実は全部コメディなんじゃないかって気もする。

どこかマヌケでシュールで、映っている男が滑稽に見える。

人間にカメラを向けるという行為の暴力性についてもかなり意識していた人なんじゃないかという気もする。というのは、併映の『オルメイヤーの阿房宮』のラストカットを見ても思ったのだけど。

『オルメイヤーの阿房宮』のラストカットでは本作の主演でもあるスタニラス・メラールの顔を執拗に撮り続ける。長ーいこの時間にシナリオが、いやもはや演出すら存在しているとは思えない。でも撮られてる限り「なんかやれ」と言うかのようなサディスティックな、無言の圧力みたいなものがメラールに向けられているのを感じる。その目線に観客も加担させられるわけだが。

かたや、本作のファーストショットはメラール演じるシモンが向けるカメラで撮られた女性たちの姿で始まる。メラールが見る側から見られる側に立場が変わる過程を見る二本立てでした、今日は。

【一番好きなシーン】
ラストのホテルの暗さ。窓から夜の海の波が見える。どう撮ったの!?