あーさん

ショーシャンクの空にのあーさんのレビュー・感想・評価

ショーシャンクの空に(1994年製作の映画)
4.2
これは、、『タイタニック』と同じパターンだ…。
あまりにも評判が良い為、食わず嫌いでここまで来てしまった。。もっと早く観れば良かった!!!

モーガン・フリーマン、自分のおじいちゃんになってほしいくらい好きな役者なのだけど、今作でも実に良い味を出している。
この人にしか出せない存在感があるような気がする。。

ティム・ロビンスのことは恥ずかしながらあまり知らなくて…。
実は監督もこなす演技派オスカー俳優だった!
死刑制度や社会問題に関心があるこの人の作品をもっと観てみたくなった。

内容に関しては、スティーヴン・キングの小説が原作だがストーリー運びもスムーズで、深い人間ドラマを余すところ無く堪能した。
素晴らしい!

人間は置かれた環境によって、クズにも聖人にもなる。
しかし、どんな過酷な状況に置かれても強い意志を持って自分を貫ける人もいる。
ティム・ロビンス演じる主人公アンディは、そのことを私達に力強く伝えてくれる…。

妻とその愛人を殺したという無実の罪を着せられ、裁判で有罪になりショーシャンク刑務所に入れられたアンディ。
入るなり、人間と思えないクズ達による数々の卑劣な嫌がらせの洗礼を受ける。
看守の目を盗んで暴力、性的虐待…観ていて気が滅入る。
だが、心ある調達屋レッド(モーガン・フリーマン)と顔なじみになり、ビールの一件を通じて少しずつ仲間や環境にも慣れていくアンディであった。

芸は身を助く、と言うように能力というものはあるに越したことはないとつくづく思う。
刑務所の中で必要ないと思われるようなスキルが、役に立つ事もあるのだ。
とあるきっかけでノートン所長(ボブ・ガントン)に目をかけられ、図書館係になってからのアンディは元々銀行の副頭取であった有能さを活かして、刑務所内に新しい風を送り込む。
予算を増やす為に、毎週一通、6年間も手紙を書き続ける根気強さ。
こういう人が世の中を変えていくのだなとしみじみ思う。
そして、銀行員だった時の知識を活かして職員達の信頼も得、そのまま何事もうまくいくかのように思われたが…。

その後、アンディの事件の真相を知る新入りのトミー(ギル・ベローズ)を巡る出来事によって全てがひっくり返る。ひどすぎる。
所長の一声でこんなにも処遇が変わるのか。。
一度甘い汁を吸う事を覚えた者は、それを手放せなくなるものだと思い知る。

許可を得ないと勝手にトイレに立つ事も許されない、、そのような環境で希望を持つことは、そんなに危険なことなのだろうか?
罪人だとはいえ、理不尽に支配されるだけの日々に終わりはないのか。。

しかし、アンディは諦めていなかった。
あの手この手でしたたかにチャンスを待っていたのだ。。

何十年も刑務所で暮らしてきた終身刑の受刑者達が、何度も繰り返す『自分は塀の外では生きられん』という言葉。
50年を刑務所で過ごし出所した仲間ブルックス(ジェームズ・ホイットモア)のその後が綺麗事ではなく、リアルに響く。
しかし、アンディは同じ轍を踏まなかった。

生きていくのに必要なもの、
人より秀でた技術、専門知識、
信頼できる友、
そして、希望としたたかさ。

ラストの透き通った海の青さが清々しい!

必死に生きるか
必死に死ぬか

突き詰めて、突き詰めて
その先に答えはあったのだろう。

観終わってから
改めてパッケージの、両手を
空に向けて大きく広げる
アンディを見て、
”自由”の意味を
強く強く噛みしめた…。
あーさん

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