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007/消されたライセンスのmatchypotterのレビュー・感想・評価

007/消されたライセンス(1989年製作の映画)
3.6
《ご長寿の映画》Part.Ⅱ。その2。
『007』シリーズ、第16弾。

4代目ジェームズボンド、ティモシーダルトン。
2代目のジョージレーゼンビーの1作に次ぐ、2作で交代してしまった彼の2作目。

なんで交代してしまったのか。
渋くて骨太なショーンコネリーとスマートで飄々と危機を脱するロジャームーア。
そのどちらにもあるようでないトレンディさとタフさと動きの幅があるティモシーダルトン。

見た目や佇まいや眼差しが逆に王道トレンディ過ぎたのか。
いずれにせよ、80年代後半のド派手なアクションを引っ提げて、乗り切るハードなティモシーダルトンのジェームズボンド、結構好きだった。

今回は、正式なミッションというより友のリベンジ。
その友とは、麻薬取締局のフィリックス。
ダニエルクレイグのシリーズでは黒人になってたフィリックスがこちらでは刑事コロンボが少し若くて活発な感じのキャラで登場。

冒頭は彼の結婚式から始まる。
結婚式に向かい道中で麻薬王のサンチェスの居所を掴み、挙式に同行していたボンドと共にサンチェスの逮捕という悲願を成し遂げる。

この冒頭の“掴み”の大立ち回りアクションが『007』シリーズの醍醐味。のっけからスゴいロケーションとスタントから繰り出される空と地上のアクションは圧巻。

しかしながら、せっかく捕まえたサンチェスが逃亡。
そして、フィリックスに仕返しにやってきて、フィリックスはほぼほぼ再起不能となり、新婚の妻も殺される。

ここで彼のためにほぼほぼ個人的に、全てをかなぐり捨ててでも彼に代わって麻薬王に“リベンジ”に果たさんとする男、それがティモシーダルトンボンド。

そんなこんなで味方は行きずりで出会ったサンチェスの手がかりを持つ1人の女、彼女1人。
持ちつ持たれつ、たった2人で軍隊顔負けの規模と資金を持つ麻薬王への“リベンジ”に燃える。

リベンジに燃えるボンドなので、ユーモア的なセンスは控えめ。手段を選ばず、執念深く、確実に大きな組織と麻薬王の懐に潜り込む。

しかし、アンオフィシャルな孤高の作戦なので、組織からは関知されず、同じようにサンチェスを追う当局との摩擦もあったり。
唯一影ながら手を貸す、マニーペニーとQ。

ボンドの手札はボンドガールとQのガジェットたち。
さらに、今回は孤軍奮闘するポンドを見かねてQが前線に出てきて、サポートするのも見所の1つ。

悲願のリベンジを果たせるか。
そして、アンオフィシャルにこんな大ごとに首を突っ込み混乱を巻き起こし、ライセンス剥奪の危機に瀕するボンドが無事でいられるか。

多少の“女ったらし”要素はあるものの、いつになく麻薬組織とそこと繋がる大規模な金と欲が蠢く闇と戦うシリアスでハードなアクションに仕上がる。

そして、
床がパカーンと空いて下にサメがいてパクッと、、、とか、
気圧が変わる部屋で人が風船みたいに、、、とか、
グルグル粉砕機に巻き込まれる巻き込まれないでぶら下がって敵を引き摺り下ろしてうわぁーとか、
こっちにまで熱気が伝わってきそうなド派手な爆破とか。

今に通ずるハードでインパクトのあるわかりやすく無惨な“殺し”があるのも、ボンドも危険を顧みず結構ボロボロになるのも、今回のボンドの心中を体現しているというか、そこは本作ならではかもしれない。


F:1914
M:3767
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