垂直落下式サミング

キング・コングの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

キング・コング(2005年製作の映画)
2.7
くっそ長い。1933年版を踏襲し、科学考証や人物描写に現代的な解釈を加えているが、これを物語の「深み」だとか人物の「厚み」だというのなら、何でもかんでも長くすればいいんでしょてことになりやしないか。
或いはこれを100分以内にまとめていたら傑作だったかもしれないが、ストーリーにも言いたいことがあって、マドンナとコングの心がなぜだか通じ合ったかのような様子を幾度も見せられて落胆してしまった。
オリジナルは『美女と野獣』がメインプロットでありながら、コングは文明のなかでは生きられない存在であり、そんな大猿の怪物の片想いは成就しないという可哀想な設定の物語だ。当然だが、人間の女がコングに向けるのは恋愛感情などではなく、動物を愛玩する目線なので、マイルドな要素を付け足しただけでは毒気を抜こうにも抜ききれていない。
言うほど原作に寄せるでもなく、ただのクロエちゃん映画に成り下がった2013年版の『キャリー』にしても、オリジナルへの愛も糞もなく、まるまんま嫌がらせのようにカラーコピーしてみせた1998年版『サイコ』にしても、名画のレプリカとして同じ額縁にはおさめようとしていたはずだ。とにかく長い、薄い、口に含んでみると味がするようでしない、俺んちのカルピスみたいな映画だ。やかましいわ。