クリーム

SWEET SIXTEENのクリームのレビュー・感想・評価

SWEET SIXTEEN(2002年製作の映画)
3.9
辛口でリアルな問題提起が好きな監督だけど、これも中々キツイ。イギリスの低所得者層の生活ぶりが痛ましい。リアムは、心の優しい子。育った場所が違ったら、結末は違うだろう。危なっかしくて、ハラハラし通しで、ラストも解ってしまうが、見届けずにはいられない。他の作品同様、こちらも見応えがありました。

リアムの夢は、母と姉と姉の子供と一緒に暮らす事。母はもうすぐ出所して来る。リアムは親友ピンボールと子供相手に望遠鏡で偽の土星を見せたり、パブで客に煙草を売ったりして小銭を稼ぐ。リアムは祖父と母の恋人スタンと共に刑務所の母に面会に行くのだが、スタンは麻薬をリアムの口の中に隠させ、母に渡すように指示するのだが、リアムは渡すのを拒み、スタンにボコボコに殴られ、家を追い出された。



ネタバレ↓



姉の家に転がり込んだリアム。リアムはトレーラーハウスを買って母や姉達と暮らす事を夢見ます。そんな中、スタンと祖父が犬小屋の下に麻薬を隠しているのを目撃。リアムはそれを盗んで売る事にした。その売上でトレーラーハウスの手付金を払い、母から契約書のサインを貰った。
リアムは残金を稼ぐ為、他の売人の客を横取りしようとしたり、目立つ行動が増えた。するとマフィアのボスに目をつけられますが、気に入られ、ボスの下で麻薬を売る事になります。マフィアは、リアムだけを気に入り、ピンボールを相手にしません。ピンボールはボスの車を盗みスポーツジムに激突させ逃げた。
ボスはリアムに麻薬をもっと売るように指示。更に、母と暮らす家の手配もしてくれるのだが、ピンボールを始末するように命じた。リアムはピンボールに会いに行く。ピンボールはトレーラーハウスを燃やしたと言い、リアムの持っていた刃物で自分の顔を切った。
母が出所し、ボスが手配した家に迎え入れたが、母はスタンの所へ行ってしまう。リアムは母を連れ戻そうとするが、母にはその気はない。リアムはスタンの腹を刺してしまった。姉が電話で16歳の誕生日なのに悲し過ぎると嘆くが、リアムは電話をバッテリーが切れそうだと言って切った。

母と一緒に暮らしたかった。だけど、それを実現する方法は、自分の環境の中から学んだ知識しかないリアムは、皆と同じ様に犯罪に手を染めてしまう。そして、皆と同じ様に負の連鎖に巻き込まれて行く。ラストは絶望しか待っていないのだろう。何とか母の呪縛がとければ良いけど、それも難しいんだろうなぁ。親子だし…。どうにもならない現実に打ちのめされるけど、綺麗事にしないラストがやっぱり好き。
クリーム

クリーム