nt708

キートンの大列車追跡/キートン将軍/キートンの大列車強盗のnt708のネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

こんなにも面白い映画が95年前に作られていたとは、とても信じられない。短尺でありながら、アクションあり、恋愛あり、社会ドラマありの超大作である。何より主人公のキャラクターが良い。機関士として一生懸命に働きながらもどこかさえない。ある日の旅路でのこと。駅で休みを取っている際に列車強盗に遭い、思わぬ形で北軍が南軍に攻めてくることを知る。そこで主人公は急いで南軍に戻り、危機を知らせようとするのだが、、

本作のようなコメディには痛烈な社会風刺が隠されているのは言うまでもないことである。戦争へと向かう世の中、機械文明に翻弄される人間たち。こうした1920年代のアメリカを象徴するような愚かさが本作では存分に描かれていたように思う。だからこそ、時代に振り回されながらも必死に生きる主人公を我々は愛さずにはいられないのである。彼が南軍に戻ってきて活躍する様子、「General」から少尉として入隊を許可された様子には思わず涙が出そうになったが、彼のような存在までもがその後、戦争へと巻き込まれていく姿を見ると何とも悲しくなってしまう。

やはり本作が95年前に作られたということは俄かに信じがたい。それでも約1世紀にわたって多くの人に愛されてきたのには何か理由があるのだろう。その理由が何なのか、これからじっくりと考えていきたいものである。
nt708

nt708