KnightsofOdessa

キートンの大列車追跡/キートン将軍/キートンの大列車強盗のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

5.0
No.33[行って帰って来るだけなのにこんなに面白いのか] 100点

想い出記録。たまにキートンの作品を無性に見たくなるのだが、そのたびに思い出すのが本作品と「キートンの探偵学入門」の二作品である。

どうしても三大喜劇王の残りのふたりチャップリンとロイドと比べられてしまうのは仕方のない事なのだが、それぞれのベクトルの長さも方向も違う気がする。
チャールズ・チャップリンは身近な暮らしなどに潜む”おかしさ”を利用したギャグが多く、アクションよりも脚本重視な傾向にある。
バスター・キートンはダイナミックなアクションを中心に据えた、体を張ったギャグが多く、脚本よりもアクション重視な傾向にある。
ハロルド・ロイドはそれぞれのいいとこを上手くつまんだアクション・脚本融合型の演出が多い。
その点考えてみると、当時一番売れていたのはロイドらしいというのも納得できるし、インパクトという面で心に残るチャップリンと頭に残るキートンに比べてロイドが見劣りしてしまう気がするのも納得できる。

本作品は、南軍が主人公の作品であり、機関車で行って帰ってくるだけの映画なのだが、計算しつくされた目を見張るアクションは脳裏にこびりついて離れないし、何なら昨今の映画なんかよりハラハラするのはなぜだろうか。それはただのアドレナリン中毒のはけ口やCGに頼らない、最早狂気に近い拘りの結晶なのだろう。

というわけで、大砲のシーンは夢にも出てきた美しいシーンだから多くの人に見て欲しいなと思った次第。ちなみに、キートンベストは僅差で「キートンの探偵学入門」に軍配が上がる。
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