ちろる

セント・オブ・ウーマン/夢の香りのちろるのレビュー・感想・評価

4.3
脚本がいい、テンポもいい、そしてなによりキャスティングが最高。
フェラーリと女が好きで、口が死ぬほど悪い厄介な性格の盲目のフランクを演じたアル パチーノと、純粋で賢い学生チャーリーを演じたクリス オドネルとのやりとりが楽しくて、台詞も演出もなにもかも最後までが粋だった。
そしてティーラウンジでタンゴを踊ったガブリエル アンウォーの存在感は高級石鹸そのもの。可憐で艶があり、かわいらしい彼女の存在感は登場人物が男性ばかりのこの作品に咲く一輪のバラのようで忘れられない。

学校でとあるトラブルに巻き込まれたチャーリーと人生と自分に絶望した自殺願望のあるフランクが、このタイミングで出会いかけがえのない旅をした。
赤の他人の2人がまるで父子のように過ごす時間が与えられたのは偶然なのか宿命なのか分からないけれど、見事に化学反応してお互いの人生にエネルギーを注入することになったのは間違いない。

これを出来すぎた感動物語と思う人もいるかもしれない。
チャーリーがフランクを、そしてフランクがチャーリーを少しずつ愛おしく思っていった過程はごく自然で、その彼らの細かな表情で絆が変化して行く過程は実に見事だったから出来すぎてても構わない、気にならない。
2時間35分という比較的長い作品であるにも関わらずもっともっと2人を観ていたかった。
まだまだ観ていない名作がたくさあるんだと改めて実感している今。
ちろる

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