時代が変わり、堅気の銀行マンにさえ押され気味のヤクザの世界。
やり手のヤクザ者だった竜二も、齢を重ね、時代の変化を感じ、金まみれの毎日にもウンザリ。
堅気になって、離ればなれになっていた妻と娘と暮らす決意をするが...
33年前の映画なんだけど、まるで古びていないのは、リアルに真摯に作られているから?
本当に良いものって時代を越えるんだな...
主演の金子正次さんはギラギラしてとても格好良くて、でも愛嬌も味もあって、魅力的な役者さんです。
そして本作や、のちの「チ・ン・ピ・ラ」の脚本も書いているという才能。
上映直後に亡くなってしまったというのは本当に残念です。
監督の川島透さんと金子正次さんは原宿学校という映像系の専門学校の同輩とのこと。
当時の映画学校って、とても熱かったんだろうなあ、とちょっと憧れてしまいました。
竜二の娘役の女の子は、金子正次さんの実の娘さんで、現在ラジオDJをされている金子桃さん。
ダメ舎弟役の桜金造さんは、このときは本名の佐藤金造さん。ダメ人間役がほんとに上手い。
そして、ちょい役で笹野高史さん(いまよりだいぶ髪の毛がある!)も出てました。
魅力的な役者さんたちに、衒いのない、それでいて深みのある演出や会話。
リアリティがあって切なくて、でもあまりじめじめしないストーリー。
「傷だらけの天使」的なものを期待して観はじめたんだけど、むしろ当時の山田太一さんのドラマを思い出しました。
ラストの件りとか、ほんとに切ないです。
心に棘を持ち続けていて、でも最近ちょっと疲れてきたな〜と感じている、全ての人たちに見てほしい映画です。