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ソーシャル・ネットワークのnekotocinemaのネタバレレビュー・内容・結末

ソーシャル・ネットワーク(2010年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

二度目の鑑賞でしたが、改めて「ソーシャル・ネットワーク」はじわりと心に残るタイプの映画だなと感じました。Facebook創業をめぐる二つの訴訟が同時進行し、そこに過去のエピソードが交錯する構成になっているんですが、アーロン・ソーキンのキレのあるセリフ回しのおかげか、意外と分かりやすくまとまっているんですよね。冒頭から高速セリフが畳みかけられるのもインパクト大で、一気に物語へ引き込まれました。

とはいえ本作の本質は、SNS誕生の華々しいサクセスストーリーよりも、“友情と野心”がぶつかり合う人間ドラマにあるのかなと思います。マーク(ジェシー・アイゼンバーグ)とエドゥアルド(アンドリュー・ガーフィールド)が一緒に夢を追うはずだったのに、その歯車が少しずつ噛み合わなくなる過程が切ないんですよ。ふたりの対立が大きくなっていくなかで現れる、ショーン・パーカー(ジャスティン・ティンバーレイク)の存在感も強烈で、物語をさらに複雑にしていく。実際に起きた出来事をベースにしているとはいえ、脚色を織り交ぜながら、人間のエゴや孤独を浮き彫りにしているのが印象的です。

そしてラストシーンでマークがひたすらページをリロードし続ける姿には、ちょっと皮肉めいた余韻がありました。世界中の人々を「つなげる」SNSを作り上げた天才が、最後には一人きりで待ち続けるという構図が、なんとも言えない孤独感を突きつけてくるんです。成功や金銭的な豊かさを手に入れても、失ったものの大きさに気づく瞬間ってこんなに虚しく映るんだな、としみじみ考えさせられました。

再鑑賞してみると、台詞の細やかなニュアンスや登場人物の些細な表情から受け取れるものが増えて、改めて「良質なドラマだ」と実感。画面そのものは暗めで派手さこそ少ないですが、裏側に潜む人間模様がどんどん浮き彫りになっていくので、一度観ただけでは拾いきれない奥行きを感じました。大ヒットSNSの誕生譚というだけでなく、“人は何を代償に成功を手にするのか”をじっくり問いかける、後味の長い作品だと思います。
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