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リアル・ペイン〜心の旅〜のnekotocinemaのネタバレレビュー・内容・結末

リアル・ペイン〜心の旅〜(2024年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

ジェシー・アイゼンバーグ監督・主演の『リアル・ペイン 心の旅』、本当に不思議な余韻が残る作品でした。ようやくDisney+で配信が始まって、「これは見逃せない!」と思って観たんですが、「時間確保して観に行けばよかった...」と本気で後悔。
ユダヤ系従兄弟のデヴィッド(アイゼンバーグ)とベンジー(キーラン・カルキン)が、亡くなった祖母の遺言でポーランドのホロコースト史跡ツアーに参加するストーリーなんですが、この対照的な二人がすごく魅力的でした。堅実で心配性のデヴィッドと、突飛な行動を取りがちなベンジー。特にカルキンの演技が圧巻で、アカデミー賞助演男優賞を受賞したのも納得です!
物語の中盤以降、ベンジーの"秘密"や"カミングアウト"が明かされたとき、それまでの不可解な行動の理由が腑に落ちる瞬間があって、見る側の視点がガラリと変わるんですよね。ロードムービーの王道展開と言えばそうなんですが、ホロコースト史跡ツアーというシリアスな背景との融合が絶妙でした。
クライマックスの「祖母のビンタ」を再現しようとするシーンが象徴的で、「過去の痛みは本当に再現できるのか?」という問いかけが心に刺さります。ホロコーストを"観光"として消費することへの違和感や、「他者の痛みを本当に理解できるのか?」という根源的な疑問を突きつけられる感じがしました。
コメディとシリアスの絶妙なバランスも魅力的。ベンジーの言動に笑わされる場面もあるのに、歴史の暗部に触れた瞬間、笑いが引いていく…このアップダウンがとても効果的で、アイゼンバーグ監督の手腕に驚かされます。観終わったあとも「我々が抱える痛みは"リアル"なのか?」って考えさせられっぱなしでした。
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