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一人息子のadeamのレビュー・感想・評価

一人息子(1936年製作の映画)
3.0
小津安二郎初のトーキー作品。
女手ひとつで息子を育てた母と田舎を離れ東京で学校を出て就職した息子が久しぶりに再会したことで互いの想いのすれ違いが露わになる物語です。
中盤での母の爆発シーンが白眉で、高い期待をかける勝手さこそあれ母の気持ちはよく分かりますし、無意識に自分へのハードルを下げることで感謝が薄れていたことに気付かされてショックを受ける息子の痛ましさも胸に迫るものがあります。
「父ありき」と対となる設定において、今作の息子は社会的成功をこの時点で得てはいませんが、異なる観点で立派に育ったことを示して一定の親孝行を果たす結末は良かったです。
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