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青いパパイヤの香りのfilmtravelerのレビュー・感想・評価

青いパパイヤの香り(1993年製作の映画)
4.4
トラン・アン・ユン監督
ベトナム系フランス人

1951年フランス領ベトナム
サイゴン(インドシナ戦争中)
ファン・チャウ・トアン通り

パパイヤの茎から垂れる白液体
食べ物を運ぶアリを見て面白がるムイの表情
カエルを見て面白がるムイの表情
パパイヤの中にある種を触って面白がるムイの表情。
オナラやオシッコでイタズラするも、出て行った父を恋しがる三男
歪な家族に違和感を感じながら、その寂しさを上手く表現できず、
蝋でアリを殺したり、カエルをパチンコで撃ったり、屈折していく次男
夫が女のところへ行くのはお前のせいだと姑に責められる母
日本のせんねん灸が出てきた。
蚊取り線香も日本製かな。

絶えず不協和音の音楽が流れ、この家の不穏な空気を感じさせる。
10年後、クェンの家では彼の弾く
ドビュッシー『月の光』のせいか、明るく、しかし、どこか物悲しい感じがした。

好奇心旺盛で何にでも興味を持ち、虫や生き物、食べ物、もちろん人に対しても、屈託なく接するムイ。裕福だが決して幸せではない家庭の中で、慎ましくも明るく生きるムイの生活には悲壮感がない。純真無垢なムイに幸せが訪れる。読み書きを覚え、詩まで読むようになる。

少女のムイと大人のムイも本当に同一人物ではないかと思う程、表情がそっくり。
最後、黄色いアオザイを着てたのは熟したという意味が。

叙情豊かなエロ映画かな。