1950年代初頭、ベトナム戦争前のベトナムの美しく平和な暮らしの備忘録。
とにかく全てのカットが美しい。西洋の眼差しで切り取られたベトナム。
生々しいシーンは一切ないが、パパイアの果汁の描写から始まることに表れているようにフェティッシュである。
少女や若く美しい貧しい女性とお金持ちの男性が出てくるアジア圏の映画は思わず身構えてしまう。おそらくカンヌの賞候補になった時と2025年現在とではまた、評価の異なる作品であることは間違いないが、全編をとおして、誰かの悪意を描きだしたり、政治性を強く表していないことからか、美しい画の連続を、肯定的なノスタルジーと共になんとなく牧歌的に観れてしまう。
音楽も素晴らしい。