小雨

シェルタリング・スカイの小雨のネタバレレビュー・内容・結末

シェルタリング・スカイ(1990年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

坂本龍一が亡くなり、かれのドキュメンタリー映画を観て、その周辺の作品をめぐるのもよかろうと思ったところにたまたまあったので手を出した。
根本的に、この作品というかポール・ボウルズの描きたいところ、または語りたいところはきっととても腑に落ちる。未読だけれど、終わりのボウルズのことばは心にとどく。
しかしとくに終盤にかけて、ポートが亡くなって以降のキットの行動は、そういう心境であり、そういう人なんだろうと推察するよりないのだけれど、観ていておおいに戸惑う。ただそれは前半のポートの振る舞いにも言えることで、ひじょうに不安を煽る。
何かをたださなくてはという旅の先で、ただしくない道をあえて選ぶようなかれらに。

坂本龍一の音楽だけを先に知っていたので、すこし不思議な気分で画面をながめた。
うつくしい景色を前にからだを重ねる場面、その直前でながれる、うつくしく不安定な気持ちにさせるピアノが印象深い。ああ、この音はここで使われるのか、と。
すごく好きだ。
小雨

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