小雨

イングリッシュ・ペイシェントの小雨のレビュー・感想・評価

3.2
ドラマティックに仕立てあげた悲劇的な不倫のおはなし。
クリフトン夫妻の砂漠での事故に唖然とした。デイヴィッドの自己破壊的な行動はまあわからなくもないのだけれど、え、となり、そこから後のアルマシーはちょっと自己陶酔しているようにしか見えず、わたしにはこのロマンスにひたるだけの感性がない。
しかし、あんな場所でひとり死ななければならなかったキャサリンの気持ちをかんがえると非常につらい。彼女は道ならぬ恋をするものの冷静であり、現実的で、だからこそ夢見るばかりの伯爵とはかけちがってしまったのだと思う。途中、お城にいるのに飽きて、とか何とかいう発言があったけれど、それがとても的を射ているというか。
原作に手を出していないからなにも言えないんだけど、僧院全体が夢物語のよう。アルマシーの夢想と、それを包みこむ戦時における片隅のおだやかな世界。夢想のなかで命を終えられたかれは幸福だったのかもしれない。
小雨

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