千年女優

マルサの女2の千年女優のレビュー・感想・評価

マルサの女2(1988年製作の映画)
3.5
国税局査察部、通称「マルサ」で脱税を取り締まる係員で、アシスタントについた大蔵省のエリート官僚で東大法学部卒の三島をしごく板倉亮子。バブル期を迎えて地上げ屋同士が殺しも厭わぬ熾烈な闘争を繰り広げる中、宗教法人「天の道」を隠れ蓑にする鬼沢鉄平に狙いをつけた彼女が背後でうごめく巨悪に迫る様を描いたドラマ映画です。

俳優を始めとするマルチなキャリアを積み重ねて51歳で商業映画監督デビューした伊丹十三が、妻の宮本信子を主演に据えてヒットを記録した『マルサの女』の続編として翌年の1987年に公開した作品で、曰く入門編だった前作に対してより事の中核に踏み込む物語が観客の関心を集めて前作の12億円を上回る13億円の配給収入を記録しました。

女係員を主人公にした爽快な物語をコミカルに描いた前作から軽快なテンポやユーモアは引き継ぎつつ、「脱税」の真相へ至るべくスケールアップに挑みます。その飛躍とデフォルメされたキャラの突飛さの相性の悪さはあって主人公の出番も減少と一長一短ですが、「個人」が割を喰う日本という社会における構造的な闇へと迫った一作です。
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