イチロヲ

ヘル・レイザーのイチロヲのレビュー・感想・評価

ヘル・レイザー(1987年製作の映画)
4.0
究極の快楽が得られるというパズル・ボックスを入手した青年が、肉体の消失現象に苛まれている殺人鬼へと変貌を遂げてしまう。ボンデージ&ゴシックの世界観を取り入れている、サスペンス・ホラー。

クライブ・バーカー監督が哲学の博士号をもっているため、バタイユのエロティシズム論にも通じる、普遍的命題が織り込まれている。「究極の快楽を追求すること=死地に近づくこと」という方程式が採用されており、快楽と苦痛の表裏性が説かれていく。

本編ドラマは、行方不明になった青年宅を訪れた弟家族が、潜伏する殺人鬼に脅かされてナンタラカンタラという流れ。魔界との接点が出現するときのドキドキ感と、皮膚が剥がれ落ちていくグロテスク描写が記憶に残る。

また本作は、後のクリエイターに多大な影響を与えているため、マンガやゲームの元ネタ探しを捗らせることが可能。余談だが、本作から生まれた名台詞「Jesus Swept!(この畜生め!)」は、主演俳優アンドリュー・ロビンソンの発案らしい。
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