きゅうげん

ヘル・レイザーのきゅうげんのレビュー・感想・評価

ヘル・レイザー(1987年製作の映画)
3.5
サド・マゾ・ホラーの金字塔。
究極の性玩具は魔導士の召喚術でもあったのだ!
快楽に溺れ身を滅ぼした義兄と、彼の肉体に心酔する継母、そして彼女の行動を訝しむ主人公。三つ巴のエログロバトルが今はじまる!

加虐嗜好・被虐嗜好の行き着く先が自己破壊欲求・人体改造趣味となって表れた魔導士の面々は、なかなかハードコアですね。
人体のさまざまな部位がついた多面体が吊り下げられて回転している……という抽象的な映像も、この手の性的倒錯の表現としてとても端的かつ的確といった感じ。

特殊効果のクオリティも、このテーマを下支えするに十分な“ヤバさ”があります。伯父さん復活場面はどれもすごい! 飛び回ったりほとばしったりするオーブの手書きアニメ表現も、時代を感じさせるような味を出してますね。
それと序盤にある、本筋とは無関係な謎の埠頭シーン。
クレーンを見上げながらその下をくぐり続けるのですが、屹立する操縦部の男性っぽさと曲線を描く脚部の女性っぽさとが一体になったクレーンが、無機質な両性具有イメージを象徴し映画のテーマに適う表現になっているのです。
有名ホラー・フランチャイズの数々のなかにあって、主流派とは一線を画すアンダーグラウンド感が、本作シリーズの魅力となっています。

あと、もしかして『ジョジョ』第3部に出てきた“吸ってるタバコを口に含んでまた出しても火がついてるよ”の謎特技って、これがネタ元?
荒木先生ホラー好事家だしな……。