バンバンビガロ

カジュアリティーズのバンバンビガロのレビュー・感想・評価

カジュアリティーズ(1989年製作の映画)
3.8
目を覆いたくなるような悲惨な場面の数々、しかもこれが実際に起こった事件をもとにしているというから救いがない。それでもこの映画はただベトナムでの米兵の蛮行を暴き出して見せつけるような胸糞の悪くなるだけの映画ではなく、起こってしまったこと、防げなかった出来事に対してどのようにふるまうかという重要な倫理的問題を提起している。
マイケル・J・フォックス演じる主人公は仲間たちがベトナムの農村から少女を拉致して暴行しようとするのに一人反抗しながらも結局それを止めることができなかった。これはストレートに当時ベトナム戦争に反対した人々の心情と重なる。だからこの映画の大事な点は少女が殺されてしまった後の悲劇を止められなかったことに対する責任を取ろうとする主人公の姿にあるのだと思う。
自分がいつ死ぬかわからない戦場にあってあらゆるものへの正常な感受性を失っていく軍隊の中で、本当は逆なんじゃないか、いつ死ぬかわからないからこそいろんなことを気にかけて生きないといけないんじゃないかと語る主人公のセリフが印象に残る。
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