実在するプロレス一家フォン・エリック・ファミリーの悲劇を描いた作品。
全体的にウェルメイドなそつのない仕上がりの作品で、ザック・エフロンを中心に俳優陣の肉体を含めた役作りは非常に説得力があるし、フォン・エリック家の兄弟たちが立て続けに不幸に見舞われる場面はテンポがよくスリリングな展開になっている。
ただテーマの描き方が不十分なところはあって、両親の関係性や息子たちに妙に冷淡な態度をとる理由、ケビン以外の兄弟がどういった葛藤をかかえていたのかなどがあまり語られないまま淡々と話が進むので、なんとなくわかったようなわからないような印象のまま話が終わってしまった。
題材からして仕方ない部分ではあるがどこかプロレスが空虚でつまらないもののように見えてしまうのも気になるところ。
親父が試合の後のマイクパフォーマンスで好き勝手に今後の予定をしゃべるところで兄弟が次々と「聞いてないよ!」みたいな顔で見上げる場面はちょっと面白かった。