MasaichiYaguchi

ザ・グレイ 凍える太陽のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

ザ・グレイ 凍える太陽(2012年製作の映画)
3.2
物語の終盤には、身体だけでなく心まで凍えそうになってしまった。
キリスト教徒のテーマの一つとして「神の沈黙」がある。
信仰深く、身も心も神に捧げたのに、神は助けて欲しい時に手を差し伸べてくれず、何故黙っているのか!
「この世には神も仏も無いのか!」と云うことである。
私は無神論者ではないが、神は気紛れで、「天の配剤」は必ずしも有るとは限らないと思っている。
本作は、石油採掘現場の従業員を乗せた飛行機がアラスカの原野に墜落し、何とか生き残った者達のサバイバルを描いていく。
ただ、主人公を含む生き残り組が放り出された地は、-20℃の極寒の荒野だ。
そして追い討ちを掛ける様に、そこには飢えた狼の群れが、彼らを待ち構えている。
四面楚歌の彼らのサバイバルが、これ程までにかと思うくらいリアルに描かれる。
1997年公開の邦画で「八甲田山」と云う作品があるが、それに匹敵する過酷さで、観ていて辛くなる。
心まで冷え切って、観るのを止めたいと思う人もいるかもしれないが、エンドロールが終わるまで待っていると、パンドラの匣の様に最後の最後に残されたシーンが出て来ます。