社会も愛してくれる女性も拒否し消えてしまうジャンと、そんな彼を愛し続けるジャンヌの物語。
不幸な幼少期を送り15歳で少年院に入ったジャン(パトリック・ジュアネ)は、肉体労働をしているが自己肯定出来ず現実逃避を繰り返している様子。
そんな彼を愛するジャンヌ(マーシャ・メリル)は彼に寄り添い愛を語り合い、幸せな日々もあったが、ある日、ジャンは現実から逃げるように消える。
ジャンはビートニクの若者グループと行動を共にするが馴染めず1人さまよい、3日間何も食べず発熱も。そして数日後、どこかの家の庭で自然死してしまう。(ジャンの死をジャンヌが知ることはない)
二人の幸せな日々をカラーで、ジャンのいない喪失感の日々をモノクロで、断片的に切り替わる映像。
詩的な会話、写真のカットのような構図、ジャンヌの表情のクローズアップ…
ジャンの肖像画を画家が描く中、ジャンヌが可愛いグリーンのワンピースで登場するシーン。
ある女性のポストカードのアルバムを見て書かれた内容を読み上げる二人のシーン。
などが印象的。
タイトルは二人が会う『Au pan coupé』というカフェの名ですが、ジャンが消える=ジャンヌにとってpan(重要な面/部分)がcoupé(切断/中断)されたという意味もありそうですね。
寂しく悲しい読後感ですが、ジャンヌのジャンへの愛が沁みる名作でした。