バナバナ

扉をたたく人のバナバナのレビュー・感想・評価

扉をたたく人(2007年製作の映画)
4.5
リチャード・ジェンキンスって、よく悪役しているところを見かける、このおじさんだったんだ!と、初めて名前を意識しました(この先も名前を覚えていられるかは分かりませんが)。

この映画に出てくる人物って、タレクがパレスチナ系シリア人で、その恋人ゼイナブがセネガル人で、ゼイナブの隣で露天だしてる人が
「イスラエルとパレスチナを混同してる奴もいたよ」
と言ってる事から、もしかしたらイスラエルのユダヤ人かもしれない。
(ユダヤ人は各国で露天のネットワークを持っていて、イスラエルの徴兵制度が終わった若者が伸び伸びしたいと、各国の露天でアルバイトをしながら、世界を回る人が多いそうです)。

タレクの弁護士はアラブ系ながら、NYはクイーンズ地区出身で、アメリカ生まれのアメリカ育ちのせいか、
どうも仕事ぶりが事務的で冷淡な感じがするのに比べて、
タレクはパレスチナ人なのに、彼らはとても温かく、仲良さそうだ。
余所の国から来た者同士は、互いの気が合えば、こんな風に人種を気にせずに暮らしているのだろう。

ウォルターとモーナはいい感じになったのだから、ハッピーエンドに終わらせようと思えば、この二人が再婚すればいいのだ。
そうすればグリーンカードがもらえ、モーナの息子であるタレクも堂々と再入国できる。
でも、そうはいかない。
お互いに好感を持っていても、分別を持った、いい歳をした大人が衝撃的に結婚するなんて現実では有り得ないのだから、この映画もそんな簡単な選択肢は取らない。

でも、彼らと出会ってからのウォルターは、以前ほど孤独を恐れなくなったように見えた。
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