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トスカーナの贋作のadeamのレビュー・感想・評価

トスカーナの贋作(2010年製作の映画)
2.5
イランの巨匠アッバス・キアロスタミがイタリアを舞台に描いた中年男女の会話劇。
イギリス人作家の男とフランス人古美術商の女がトスカーナで出会い、街を放浪しながら偽りの夫婦を演じる物語です。
夫婦ごっこがいつの間にかフルスロットルになり、その着地も見えないまま進むことへの違和感は否めないですが、その真実と虚構の境界の曖昧さにキアロスタミらしさを感じられます。
特にカメラを見据えて感情的にまくし立てる2人の切り返しでは、芝居の芝居にしてはやけに生々しい内容に自分が説教されている気になりました。
糸杉の絵画のような美しさや、暗い室内でのライティングの妙も良かったですが、やはり白眉は3カ国後を見事に操ったビノシュの存在感だったと思います。
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