ナツミオ

出来ごころのナツミオのレビュー・感想・評価

出来ごころ(1933年製作の映画)
4.2
WOWOW on demand鑑賞
【小津安二郎監督特集】

”海の水は何故塩っぱい?

 シャケがいるから辛いんだ

 よく出来てやがらぁ“


初鑑賞。
小津安二郎監督が描く下町の人情コメディ作品。ホロっとなり、クスッと笑える温かい作品。

東京の下町の人々が織り成す人情劇を小津安二郎監督が情緒豊かに綴った無声映画の新音声版。「連続ドラマW OZU ~小津安二郎が描いた物語~」の1本としてリメイク。

英題 『Passing Fancy』

1933年日本作品モノクロ・サイレン101分
監督 小津安二郎
原案:ジェームス槇(小津)
脚本 池田忠雄
撮影 杉本正二郎
出演 坂本武 伏見信子 大日方傳 飯田蝶子 突貫小僧(=青木富夫)
寺田農 声
倍賞千恵子 声

(WOWOW番組内容より)
東京の下町の長屋に住む、気のいい中年男の喜八(坂本)は、相棒の次郎(大日方)の助けを得ながら、息子の富坊(青木)を男手一つで育てていた。ある晩、寄席見物に出向いた帰り、喜八は路傍にたたずむ若い娘の春江(伏見)と出会う。職を失って身寄りもないという彼女は、喜八の口利きで、行きつけの食堂で働くことに。喜八は年甲斐もなく彼女に惚れ込む一方、春江は次郎に想いを寄せるが、次郎は喜八の気持ちをくんで、あえて彼女につれない態度を取り続ける……。

(WOWOW解説より)
東京の下町の長屋に住む気のいい親子を物語の軸に、彼らを取り巻く人々が織り成す人間模様を小津監督が人情味たっぷりに活写。小津映画の常連・坂本武が、どうにも憎めない主人公の喜八に扮して絶品の演技を披露。それまでは学生やサラリーマン喜劇を数多く手がけてきた小津監督が新境地を開いて高い評価を得、以後、「浮草物語」「東京の宿」など、<喜八もの>と呼ばれる同種の人情劇を連作することに。
クレジット表記の原作のジェームス・槙は小津の変名。今回放送する新音声版の声の出演は、寺田農と倍賞千恵子。

坂本武演じる喜八を主人公とした「喜八もの」(忘備録)の第1作で、物語はキング・ヴィダー監督の『チャンプ』(1931)からヒントを得ている。第10回キネマ旬報ベスト・テン第1位。
リメイク版は観た記憶…

どうしようもない妻に逃げられた男、喜八を軸に下町の人情、親子との絆を描く人情コメディ。

子役の富坊役、突貫小僧(青木富雄)のいじらしさ、こんな父でも慕うしっかり者の冨坊。同級生にいじめられて、父の大事なイチョウの盆栽の葉っぱを全部むしってしまう…
ところからの親子のバトル⁈
父から殴られた後の、子供が泣きながら父をぶつシーンに涙腺緩む。
父から大金の小遣いをもらって暴飲暴食で腸カタルで床に臥す。

からの、父の決心。

脇役の人物描写も心情が細かく描写され、終盤の医療費支払いを巡っての周りの熱い想いに涙腺崩壊。

ラストはまた、ニッコリしてしまう、小津マジックにホンワカした名作でした♪♪♪




【忘備録】ネタバレ無し
(キャスト)
喜八:坂本武
春江:伏見信子
次郎:大日方伝
おとめ:飯田蝶子
富坊:突貫小僧(青木富雄)
床屋の親方:谷麗光
先生:西村青児
級長:加藤清一
医師:山田長政
会社の上役:石山隆嗣
船の客:笠智衆(ノンクレジット)


【喜八もの】
小津作品は同じテーマやスタイルを採用したが、同じ役名も繰り返し登場している。例えば、坂本武は『出来ごころ』『浮草物語』『箱入娘』『東京の宿』『長屋紳士録』で「喜八」を演じており、『長屋紳士録』以外の4本は喜八を主人公にした人情ものであることから「喜八もの」と呼ばれている。
(Wikipediaより)
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