SSDD

ザ・ビーチのSSDDのレビュー・感想・評価

ザ・ビーチ(2000年製作の映画)
3.5
◼︎概要
バンコクに旅をするアメリカ人青年は他の旅行者と同じことをするのではなく刺激を求めていた。そんな中で伝説のビーチの存在を知り、向かうのだが…。

◼︎感想(ネタバレなし)
あらましだけで昔はプリオのアイドル映画だろうと観るのを控えていましたが…。
いざ観始めるとダニーボイル監督ということもあって、浅慮のアメリカ人の若者が目指すビーチというロードムービーはどういう結末になるのか惹き込まれました。

流石トレインスポッティングの監督という感じで一体どんなトーンで観ればいいのかわからない…なんとも言えない奇妙な後味が独特の味わいです。

怪味的なごちゃ混ぜな感情になるのが好きな方にはうってつけという感じですね。
私は苦手というほどでも、よかったというほどでもなかったです。

若プリオが無茶苦茶細かったですね。












◼︎感想(ネタバレあり)
・寓話的作品
ビーチのコミューンで鮫に襲われた人間の苦しんでる声を楽しめないと隔離する…まぁ最悪隔離は分かるがテントだしまともに介護する気が一人しかないという恐ろしい冷酷さ。

最大公約数の幸福のために、一人が不幸を被る街。それを住人達は知りながらも見ないふりをする。という悍ましいコミューンという悪夢のような世界観。

サルというビーチの狂信者を中心に築かれた、単格的な人間の集まりなんだからモラルを求めてはいけないのだろうか…。

・殺人
狭いコミューンの排斥に近い状態になる程度で精神的に追い詰められる主人公は、軟弱というよりも人間味はあるが好きになれない。何故なら、間接的に大麻栽培グループにツーリストを殺させるという殺人を犯し、その後介錯とはいえ病人を窒息死させている。普通の殺人者。

それでいて島はいい思い出のような終わり方は最高にホラー。
というか島の連中のモラルハザードで一夏の思い出みたいに、自分たちの快楽のために人死にを出したのに思っているというのが怖い。
遺族は遺体に会うことも亡くなった事実も知らないままにしているのだから。

・総評
技術進歩で衛生写真が誰でも簡易で見られる世界になった現代ではもうあり得ない世界になってしまった。
公衆電話を主体とするフォーンブースなど、その時期でしかあり得ない作品というのはなんともノスタルジーな気持ちになる。

しかし本作は短絡的な人間の集まりがいかに恐ろしく、秘密を守ることの難しさなどを近代寓話ホラーとして観せられた気がする。

なにより悍ましいのがあれだけの死人が出ていい思い出みたいに思えるという人間が本当に存在するのだろうなというのが何よりも恐怖だ。
SSDD

SSDD