主演谷啓×監督坪島孝の最終作。日本一のヤクザ男との同時上映。クレイジーの映画にクレイジーの映画が併映するという事態(笑)。
原作は野坂昭如。歴代クレイジー映画と違い、いわばギョーカイ映画。
貧しい大学中退者の水虫の友蔵(谷啓)が、作詞家の事務所から広告制作会社、テレビ番組の人材派遣とギョーカイの中心へ入り活躍していく。
野坂昭如の目線で書かれた話なのか、ギョーカイをなかり射に構えた視線で描かれてるのが愉快だね。ギョーカイ人に対し基本的に滑稽だと見下してる視線が面白い。ホイチョイ映画の「俺たちギョーカイ人格好良いだろう?」ってスタンツと真逆。
憧れている女性がいたが、酔った勢いで他の人を抱き押掛け女房になられる。コレが浜美枝。
クレイジー映画だと植木等と浜美枝のカップリングが多いのでなんか変な感じ。
浜美枝が新婚時代に甘えてきたり、パンパンのお腹の妊婦になったり、子供を背負いながら会社の電話を受けたりと、だんだん強くなりながら水虫の友蔵を支える様がとても見てて心地よい。
ギョーカイに入って苦労・成功・失脚を繰り返して新しい仕事を立ち上げていく。これがそのままこの時代の日本の芸能史に繋がっているのも興味深い。
広告代理店に媚を売るため自作のエロテープの録音を男同士で作るとか、ギャグも切れてる。
ライバルキャラに平田昭彦。谷啓の場合はいつもライバルに勝てない悲哀を伴うのがデフォルトだ。それでも「水虫魂」で突き進んでいく姿に、当時の広告・テレビギョーカイの勢いを感じる。