えんてん

惑星ソラリスのえんてんのレビュー・感想・評価

惑星ソラリス(1972年製作の映画)
4.3
タルコフスキー監督の映画は、いつも強制的に瞑想するように心地よく眠ってしまってなかなか最後まで見られないのですが、この映画は話も分かりやすく、最後まで見られました。
宇宙もののSFですが、画面的には、舞台装置的な宇宙ステーションのセットの中での静かな会話劇で、決して詳細には映されない惑星ソラリスの巨大な存在感を画面外に感じながらの密室劇として多くの話が進みます。
思えば宇宙モノの多くは密室劇になるんだなーとこの映画を見ながら改めて思い知らされました。タルコフスキー監督なので、水にまつわる美しい映像が随所に表れます。特に地球での主人公の故郷の風景、雨や水草のたゆたう映像が心地いい。
記憶、もしくは無意識?を実体化させるソラリスの作り出した、かつての妻と過ごす時間の中で、実際にはすでに死んだ妻との関係や、己の罪悪感と向かい合わざるえなくなった主人公は、最後には懐かしい母親のイメージに子供のように縋るまでに追いつめられる。そうした果てに映画冒頭の水面に揺れる水草の映像が表れ、ああ、帰ってきたんだと懐かしさと安堵を感じたところでラストが待っています。

観ている最中は眠気との闘いですが、観終わった後でもう一度思い出してみるとストーリー自体は実はシンプルで、そしてどのシーンもとても印象的で、象徴的で、そして美しかったなあと頭の中で思い出される。
実体はなく、言語化も上手くできないけど、頭の中に何か残るとても映像的な体験です。
ストーカーとかまた観てみようかなあ、いやたぶんまた寝ちゃうな。。
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