Arsenyevich

惑星ソラリスのArsenyevichのネタバレレビュー・内容・結末

惑星ソラリス(1972年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

この作品を観るのは今回が3回目。
タルコフスキーの映画は、どうしてここまで私の心に揺さぶりかけてくるのか。

心に焼き付く映画には、多分2種類ある。
何度も見て、見尽くして幻滅してしまう作品。もしくは、時期を置いて繰り返し観ることで、再発見があり、深みにハマっていく作品。歳を重ねていく自分との歩調にもよるのだけど、本作は正に後者だった。

オープニングの音の連なりからして、
作り込みが桁外れ。
滴り落ちる雫、鳥の囀り、馬の蹄の音。
そして何よりもこの静謐なテンションが、たまらない。
普段はあまり意識することのない宇宙空間
へ潜在意識の中を蠢く感情の渦のように語りかけてくるようだ。

変幻自在のソラリスが象徴するもの。
妻の記憶や父親との繋がりは、クリスの贖罪に過ぎないのか?
物質化された幻影の数々が、現在値を生きる自分にとってどんな意味を持つのだろうか。
考えれば考える程、自分の脳みそもソラリスの海に飲み込まれてしまいそうになる。

主題にもなっていた「宇宙的感性」
公開当時こそ、冷戦下の宇宙開発含めて、皆上ばかりを見ていたけど、今こそ空を見つめたり、自分の土台を見つめ直す必要があるんじゃないかなと。
Arsenyevich

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