こんなにも厚みのある映画だとは思っていませんでした。感動で号泣しました。
これ以上に孤独(solitude)を表したものがあるだろうか。
舞台設定は惑星ソラリスの上の宇宙ステーションだけど、テーマはタルコフスキーらしく人類の救済、つまり、愛とか良心とか人類愛とか。
惑星ソラリスの海は記憶の鏡で、宇宙ステーションの人間が眠っている間に、その記憶から思い出したものを物質として作り出してしまう、宇宙ステーションの中だけに存在する幻覚のような記憶。
亡くなった妻が現れた主人公の心の葛藤など、ドラマがあるのですが、ラストがとくに哲学的でした。SFのように見せて、人間の奥深い哲学を描いた秀作だと思います。脳科学と哲学が一体になっているように思えました。1972年のソ連での作品です。その当時に科学や政治、宇宙開発への批判も随所に述べられていました。すごい映画を観てしまった、と胸がいっぱいになりました。
好きなシーンは最初に現れた妻のハリーのケープと服を二番目のハリーに見せたくなくて隠すところ。
あとは水藻が水の中へ誘うように揺れているところをどんどんアップにしていくシーンです。
超オススメです。
タルコフスキーすごいなあ。
追記
落語の頭山(頭に桜の木が生えて)にもちょっと似ている。