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荒野の決闘のgenarowlandsのレビュー・感想・評価

荒野の決闘(1946年製作の映画)
4.5
いやあ、やはりジョン・フォードはまったく別格でした。ここのところ気軽に観られる西部劇三昧していて、一つもレビューを上げていないのに、これは書かなきゃと思いました。

主題歌「オーマイダーリン」が流れ、友情と恋愛と家族愛と、荒くれ者がいる町で、人の情が沁みます。物静かな印象があるヘンリー・フォンダが主演だからか、アクションだけでない、脇を固める人びとの心の内も描き、男と女のすれ違いや、アウトローにならなけれぱならなかった悲しみもしっかり表されていました。キャラクターがそれぞれ生きていました。小さな笑いも入っていて見事です。床屋兼歯医者のシークエンスが好き。細やかな人の機微の表現が、大胆な西部劇の中で忘れられないシーンを作るんですね。

映像にはとにかく感激です。完璧な構図、光、省略することで活きるショット。しかも固すぎない。映画の教科書でした。

30〜40年代の西部劇でモニュメント・バレーで撮影した作品はジョン・フォード以外にあるのかな。カラーでモニュメント・バレーを存分に楽しめた『探索者』は1956年の作品でした。

ジョン・フォード作品はこれで7作目だったのですが、こんなに素晴らしいと思ったのは初めてです。しっとりした余韻が残る西部劇は珍しいのでは。西部劇らしいマチズモをあまり感じなかったからかもしれません。人の弱さと哀しみが漂い、それを男の美学に収めなかったところに人間らしさや深みを感じました。これは手元に置きたい作品。購入する予定です。再見したいです。

西部劇にはまっています。30~40年代のを既に10数本鑑賞したのに未レビューです。おいおい書きますが、年代ごとに観て行こうかと思っています。西部劇と一口に言ってもアクションだけではない多様さがあり、荒れた土地を開拓してサバイバルするパワフルなアメリカを感じます(もちろん先住民あってですが)。歴史ある他の国にはない自分たちでなんとかしようとする自由と自治が根本にあるんだなあと。
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