Ryo

黒水仙のRyoのレビュー・感想・評価

黒水仙(1946年製作の映画)
3.5
ここは遠くまでみえすぎるのです
ーーーシスター・クローダー

パウエル=プレスバーガーの両監督によるカラー映画。
ヒマラヤの高地に置かれた尼僧院に赴任する若い修道女たちが厳しい環境に置かれ、自らに課されている規律と欲望との間で揺らぐ様子を描いたドラマ作品。

清廉なはずのシスターたちは文化慣習の異なる現地の人々との交流によって、自らの欲望と情愛を抑えきれず、互いの関係性にも歪が生まれていく。キリスト教の教義と愛の間で揺れ動く説話的な物語は西洋文学の香りを漂わせる。

物語のクライマックスで精神に異常を来してしまうシスター・ルースの相貌がホラーチックでありながら、妖艶な雰囲気を纏い印象的だった。
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