五十嵐忠雄

わが命つきるともの五十嵐忠雄のネタバレレビュー・内容・結末

わが命つきるとも(1966年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

最初から最後まで重かったな。
重厚という言葉に尽きる。

主人公は良心、キリストへの信仰、そして思慮深く政治についてもプロであり聡明である。
厳しい人柄だが優しさや信仰故にあの時代、いや今もそうなのかな、愚劣や欲望に塗れた政治界は向いてないと見える。
たしかに聖職者向きだ、あの人は。

ずっと苦しんでいたし、自分の信念を貫き通し、最後は神への元へと送られ、投獄された時から死は予感していただろう。
家族や娘のことを愛しているし、非常に慎み深い人なんやな。

リッチはもうほんまに畜生だな。畜生以下だな。欲望に負けたというか、教師になれとアドバイスされたのに良いように利用されて主人公を裏切る。クソがよお、しかも出世してるし。あれもこれも利用されていただけなのに。次は自分が人を利用する番なのか?
これが事実に基づいた話であると言うのが…凄いよね…。国王は良い人というか快活な人というか、いやでも人間的にちょっとクソだよな。まぁトマスのことを本当に友人だと思っていたのは間違い無いのだろうけど、結局は自分のわがままを貫き通した感じ。てか意に背いたら反逆罪で死刑だなんて…大変な時代ですわ。

トマスの友人の公爵は途中途中、彼を助けようとしていたし、めちゃくちゃ良い人ではある。喧嘩するほど仲が良いというか。信頼には値するけど彼自身も王の意向には従わざるを得ない感じ。

あ〜〜トマスみたいな政治家が日本にもいて、長くやってくれたらなぁ。信仰心は強すぎるけどねぇ。

2時間なのに無駄なシーンは無く、物語の展開がちょうどよく話にも入りやすかった。数々の登場人物の性格や考えも手に取るように分かる。俳優たちの演技や脚本に脱帽ですね。面白かった。
五十嵐忠雄

五十嵐忠雄