北斗星

菊次郎の夏の北斗星のレビュー・感想・評価

菊次郎の夏(1999年製作の映画)
4.5

北野作品のファンですが、
いい意味で肩の力が抜けてる。
しかも知らないおじさんと子供が旅する話。ずっと気になっていた映画だった。

道中いろんな人に出逢ったり、いろんな下らないことをおじさんがしたり正男もしたり。たけし節に終止くだらなすぎてクスクス。

爆笑した場面がありましたが今じゃ差別になってしまうのでここには書けない。
でも、本当に差別心がある監督だったら逆にあんな描写はかえって出来ないと思う。そこが絶妙。

たけしの刺青を見て正男が落武者にうなされたシーンは地獄か何か怖い世界を描いていて見ている方も怖かった。
ホステスの下から撮った顔のアップ然り、天狗にさらわれちゃうよのシーン然り。
北野監督独特の世界観。

まあ、結局お母さんには大人の事情が…。そしてそろそろ映画も終わりかな?と思いきや。

それだけじゃ終わらない。終れない。
多分正男が生涯忘れられない夏休みになったと思う。そして菊次郎の方も。

菊次郎も施設暮らしのお母さんのことを夜の神社で考えてたのか暗い顔をしていたら、そっと血を拭いてくれた正男。

最後に正男と菊次郎が別れるシーン。
菊次郎が初めて正男をギュッとして、おばあちゃん大事にしなって一言。
そして正男が最後に『おじさんの名前は??』『バカヤロウ。菊次郎だよ!』と振りかえって思い切り笑って答えた。
私はここで泣いた。

この年になると子供目線と大人目線、両方で映画を観られるのが面白いし、楽しいです。

いい意味で馬鹿らしいこと満載。下町独特の北野監督の作った人情味溢れる素晴らしい作品でした。
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