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菊次郎の夏のxoのレビュー・感想・評価

菊次郎の夏(1999年製作の映画)
4.0
ビートたけしのどうしようもない傍若無人ぶりが楽しすぎる。「この野郎」「馬鹿野郎」が全てのセリフにくっついてくる感じ。関西人の言う「アホ」と同じようなノリ。

他作とは人物像が正反対と言っていいくらいに内省が弱い。作品全体はいたって陽性なムード。「みんな〜やってるか」に近い感覚。
ひたすら続く起伏のないロードムービーが心地良い。
好きなのは「ヤっちゃったりなんかして」のとこ。あの子の笑顔も含めて良いシーン。

ただ、すごいのは、99%ふざけていても、1%の内省や優しさがあるだけで、十分説得力が出ちゃうところ。俳優としてのたけしのすごみ。ふとしたときに見せる無表情の威力がすごい。孤独と悲しみに満ちている。。
老人ホームのところとか、最後のカットとか。

作劇的には、後半で息切れしている印象が強い。
グレート義太夫と井手らっきょが再登場してからは、あからさまなコントパート。裸になったり、沼に落ちたり、安直な笑いに終始してしまう。カエルの動きに効果音を入れだしたのにはギョッとした。。
「ソナチネ」や「3-4x10月」だと全体に切迫感があるぶん、"遊び"のパートが対比的に機能するんだけど、本作だと、単に緊張感を欠いたシーンにしか感じられない。。

子どもの心象風景の映像も要らんかったかな。難しい映画でもなんでもないのに、妙に頭でっかちな印象が前景化しちゃう。

「立入禁止」のとこも説明臭いかな。。

それにしても、久石譲力はすごい。音楽によって、大分評価が底上げされているんだろうと思う。。
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