友ニ

二百三高地の友ニのレビュー・感想・評価

二百三高地(1980年製作の映画)
4.0
 なまじ、アジア太平洋戦争と違って、有利な条件で和平まで持ちこめた、カギかっこ付きの勝利体験があるために、とかく美化されがちな日露戦争ではありますが、この二百三高地戦に代表されるように日本ロシアとも相当な犠牲者の数だったことは史実からも明らかです。

 最前線で戦った将兵達の葛藤をできる限り描いている点は評価できると思います。
 特にあおい輝彦演じる小賀小隊長、徴兵され実戦を経験していくことによって従来の博愛の考えが変わっていく様に、戦争における人間の狂気、恐怖、無慈悲さが表れていると思います。
 かくも戦争という非人間的な行為は、人の心を引き裂いていくものかという、リアル感というと軽いですが、わかりやすく描いてあります。

 当時の軍首脳部に、兵士一人一人のそういった望まざる運命を慮る人間がいたとはとうてい思えません。
 この作品中に登場する乃木、児玉、あるいは東郷など日露戦争においては軍神といわれる存在が誕生し、御社も各地にありますが、幾多の犠牲人柱の上に成り立っているということを忘れてはならないと思います。

 戦争と暴力は絶対にあってはならない。
 
 
 
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